コンフォメーション病事業

異常蛋白質を狙い討つ。

 アルツハイマー病やパーキンソン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)やプリオン病などの神経変性疾患は、誤った立体構造をとった(ミスフォールディング)蛋白質が凝集体を形成し蓄積することが要因として知られており、これらは「コンフォメーション病」と総称されています。
 弊社ではコンフォメーション病について、診断と治療の両面から研究開発を進めています。

画像診断用プローブの開発

 コンフォメーション病の診断法として、PET(陽電子断層撮影)によって、病因である凝集蛋白質を検出する画像診断が有効であると考えられ、例えばアルツハイマー病(AD)においては、病因の凝集蛋白質であるアミロイドβおよびタウを検出するPET用プローブがそれぞれ開発されています。しかし、病因の凝集蛋白質は特定されていても、これを検出するプローブが未開発な疾患も多くあります。

一方、神経変性疾患においては中枢神経系でグリア細胞の一つであるアストロサイトの増加がみられます。このアストロサイトのミトコンドリア膜に存在する酵素「モノアミンオキシターゼ-B(MAO-B)」は、神経炎症または神経変性疾患の指標とされており、AD診断の指標としてはもちろんのこと、その他プローブが未開発である疾患の診断指標になりうると考えられています。さらにアストロサイトは、神経変性疾患の他、脳血管障害、外傷性脳損傷、てんかん等の様々な神経疾患においても増加することがわかっており、MAO-Bを診断指標とすることで、様々な神経疾患の早期診断、病態把握も可能となるものと期待しています。

 我々は、これまでにAD診断を目的としてMAO-Bとタウの両者を検出するPET用プローブ"18F-THK5351"を開発し、これを出発点として現在はMAO-B、タウそれぞれを特異的・選択的に検出するPET用プローブの開発を進めています。前者に関しては、MAO-Bを特異的・選択的に検出する"18F-SMBT-1"を開発し、現在は探索的臨床研究を実施中であり、有望なデータが得られています。後者に関しては、タウを特異的・選択的に検出する"18F-STT-1(仮称)"を開発し、近い将来の探索的臨床研究を目指して準備中です。
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各プローブを添加した部検脳スライス標本に対するオートラジオグラフィーによる画像解析(画像提供:東北大学加齢医学研究所)

ワクチン治療薬の開発

 コンフォメーション病の治療方法確立のために、蛋白質凝集体の阻害・排除方法の研究開発が盛んにおこなわれていますが、ミスフォールディング蛋白質の化学構造がはっきりしておらず、困難を極めています。
 そこで、本研究ではミスフォールデング蛋白質凝集体の核となるシードに着目しました。これまでこのシードの化学構造についても、βシート構造に富むオリゴマーであること以外は明確になっておらず、特異的な治療法は未確立です。またシードは、不活性化してもそのままでは非自己として認識されず免疫応答が寛容となりワクチンとしての使用も出来ないものでした。本技術は、このシードを独自の光化学反応技術によって架橋(クロスリンク)させることによって、不活性化したシードに免疫応答出来る“タグ”を付加した上でワクチンとして使用し、シードを阻害・排除する特異抗体を産生させることを目指すものです。
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 現在、ワクチンの投与によってシードの生成を阻害・排除する特異抗体を産生させる能動免疫療法の確立、また本技術をもとに作製した特異抗体を投与することで治療を行う受動免疫療法の確立を目指し研究を行っております。